自分で相続登記をすることができるか?

相続が発生すると、各種の財産の名義変更が必要となります。
預金の解約や名義変更、株の名義変更、自動車の名義変更などです。このような手続きは通常、相続人が自分でされる場合が多いと思います。銀行や証券会社、自動車のディーラーなどに足を運んで、必要な書類を預り、相続人に回して署名をもらって印鑑証明書と共に提出すればよいのですが、かなりの労力が必要です。

これらの手続き以上に労力がかかるのが、不動産の名義変更です。相続を原因とする不動産の所有権移転登記を、一般的に相続登記(そうぞくとうき)といいます。相続登記の手続きは、預金や株の名義変更よりも、大変です。それは、通常不動産は、被相続人の残した財産のなかで最も経済手価値が高く、そのために手続きも非常に厳格なものが要求されるためです。

しかし、相続登記の手続きを誰かに代行してもらう場合には、不動産登記の専門家である司法書士に依頼することになりますが、司法書士に依頼すると、7~10万円程度の費用がかかることが多いです。したがって、費用を節約するため、専門家に依頼することなく自分で手続きをしようかとお考えの方もおられると思います。しかし、そんなことが可能なのでしょうか。これは、結論から言いますと、可能です。方法としては、法務局の相談員と相談しながら進めるということになります。法務局には、一般の方が登記全般について相談できるコーナーがあります。ここで相談員の方と相談しながら進めて行きます。

ただし、登記申請は非常に形式が重視されます。申請書に記載する住所を、ハイフンを使った簡略な表示にすれば補正を指示されます。また、相続登記で大変なのは、戸籍集め、登記申請書や遺産分割協議、相続関係図などの書類の作成、調印のための相続人への書類の郵送の段取りなどです。手続きは、ケースバイケースで、それほど大変ではない場合もあります。逆に、非常に困難なケースもあります。住民票や戸籍等が保存期間経過により発行されない場合等は、上申書という書類の作成など、手続きは困難になることが多いです。

たしかに司法書士に依頼せずに自分でやれば、費用は節約できます。しかし、人生の中で使える時間には限りがあります。手間を掛けて、おそらく二度とやらない相続登記の勉強をして、時間と労力を消費するのが本当にいいのかは、考えられた方がいいでしょう。

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